月給者の給与計算で注意すべき○○とは?

おはようございます、山梨県南巨摩郡身延町の
社会保険労務士法人シャインの代表社員、中村です。

新年度、いかがお過ごしでしょうか?
何か年度末にあった慌ただしさが少し落ち着き、
逆に何かやり残しているような焦りがあります。。。

【会社のルールの見直しと「賃金」】

この時期は「会社のルールを見直したい」という
相談が比較的多い時期だと思いますが、
やはり問題になりがちなのが賃金の計算。

これまで社労士が関わっていなかった事業所で、
給与計算がほぼ間違いないというところは、
ほとんどなかった、と言っていいくらい誤りがあります。

誤っていても、法定の金額よりも多ければ問題ないですが、
やはり法定の計算額を下回ってしまうケースが多く、
この修正は結構大変だったりもします。

【月給者の計算の注意点?】
https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/var/rev0/0111/2260/2016329155850.pdf
H28.3作成 秋田労働局『割増賃金の計算方法(月給制)』

時給者の給与計算については、
「時給単価×労働時間」が基本なので、
大体のケースで問題はないかと思います。

時給者の場合、注意が必要なのは、
最低賃金の確認と、割増賃金の計算です
(1週40時間超え、1日8時間超え)。

時給者に対し、月給者の計算は、
計算方法の誤りが圧倒的に多い感じです。

その一つが「割増賃金」の計算方法です。

上記URLのように順を追って基本を作れば、
その後はほぼ誤りがなくなりますので、
基本を一度おさえるのが重要です。

【月給者の割増賃金の計算手順】
① 年間の労働日数を計算する。
 基本的には歴日数から「休日」を引きます。
 年間休日が105日であれば、
 365日-105日=260日です。

② 年間総労働時間を計算します。
 1日8時間労働であれば、上記の日数に
 労働時間を掛けます。
 260日×8=2,080時間

③ 月の平均所定労働時間を計算します。
 ②の労働時間を12で割って、
 月の平均所定労働時間を計算します。
 2,080時間÷12月=173.333…時間

④ 割増賃金算定基礎の賃金額を確認する。
 各月に支給する基本給とその他手当を確認し、
 割増賃金の基礎となる賃金額を確認します。
 
 手当は基本的に含めますが、
 一部の手当は除くことが認められています。
 
 厚生労働省 割増賃金の基礎となる賃金とは?
 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-5a.pdf

⑤ ④の額を③の時間で割る。
 1か月の賃金額を月平均所定労働時間で割ると、
 1時間あたりの基礎単価が出ます。

 仮に④の額が190,000円であれば、
 1時間あたりの割増賃金単価は以下のようになります。
 190,000÷173.333×1.25=1370.19…
 ≒1,370円

 この1,370円に時間外労働数を掛けて、
 割増賃金を計算します。

【各労働者に当てはめる】
上記の③までは基本的にすべての社員が同じなので、
③の手順まで一度計算するのがひとつのステップです。

あとは④で算入する手当が誤っていなければ、
基本的にはこの繰り返しとなります。

④の確認時に、手当がついているにもかかわらず、
基本給だけで計算してしまっていることが多いので、
その点も御注意下さい。

現状の給与計算で、この手順がしっかりできているか、
確認しておくことが、非常に大切ですので、
是非、一度確認をしてみてください。

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★編集後記
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就業規則の作成や見直しの相談が、
この時期は割と多い気がしますが、
給与の確認はその最も難しい場面のひとつです。

未払いなどが生じていると、
その修正が非常に大変なので、
今回の内容は是非押さえて頂きたいところです。