パートの「社会保険の扶養」はどう整理する?106万・130万の壁とは?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
あっという間のシルバーウィークでしたが、
皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか?
最近は、天候に振り回されることも多く、
温暖化の影響が大きいようですが、
この状況は益々厳しくなりそうです。
事業の継続(BCP)なども、これまで以上に
実務的なものにしていく必要がありそうです。
【とてもわかりづらい「扶養と年収の壁」】
顧問先や経営者様から最近「社会保険の扶養」に関する
ご相談が増えています。
「パートさんから『扶養から外れないようにシフトを
減らしてほしい』と言われた」
「税金の扶養と社会保険の扶養がごちゃ混ぜになっていて、
現場でうまく説明できない」
地方の中小企業にとって、年末にかけての人手不足やパートタイマーの
就業調整(いわゆる働き控え)は現場のオペレーションに直結する
深刻な課題です。
今回は、経営者や人事労務担当者がパート社員に正しく説明し、
トラブルや過度な働き控えを防ぐために押さえておくべき
「社会保険の扶養」の基本ルールを整理して解説します。
【まず整理!「税金の扶養」と「社会保険の扶養」の決定的な違い】
厚生労働省 「年収の壁」への対応
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
扶養に関する相談で最も多い混乱の原因は、「税金」と「社会保険」の
基準をごちゃ混ぜにしてしまっていることにあります。

特に注意が必要なのは、社会保険の扶養判定では「非課税通勤手当」も収入に
含めて計算するという点です。
マイカー通勤が中心となる地方の事業所では、通勤手当を含めることで
思わぬ上限オーバーになるケースが頻発しています。
【パートタイマー自身が社会保険に入る「106万円の壁」】
「106万円の壁」とは、パート先の会社で短時間労働者として
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務が生じる基準のことです。
以下の要件をすべて満たした場合、本人が希望するかどうかに
かかわらず社会保険への加入が必要となります。
①週の所定労働時間が20時間以上であること
②月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円)であること
※今年度の最賃改定でこの要件はなくなります。
③2か月を超える雇用の見込みがあること
④学生ではないこと
⑤企業の規模要件(厚生年金の被保険者数が常時51人以上)を満たしていること
※雇用者数ではなく「社会保険に入っている社員数」で確認
なお、社会保険加入者が50人以下の企業では、現時点では
「週の所定労働時間および月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
(通常週30時間以上)」でなければ社会保険の強制加入にはなりません。
ただし、社会保険の適用拡大は段階的に進められているため、今後の法改正の
動向を注視しておく必要があります。
※こちらについては、過去の記事で紹介しています。
51人未満の事業所も要チェック!社会保険適用拡大の基礎知識と今すべきこと
【家族の扶養から完全に外れる「130万円の壁」】
「130万円の壁」は、企業規模に関係なく、配偶者や親などの社会保険
(健康保険組合・協会けんぽ等)の「被扶養者」でいられる限度枠です。
基準:年間の見込み収入が130万円未満(月収換算で約108,333円未満、
60歳以上や一定の障害がある場合は180万円未満)
対象収入:基本給・諸手当だけでなく、残業手当・賞与・交通費(非課税分含む)
すべて合算
106万円要件に該当しない企業で働いているパート社員であっても、
月収が継続して108,333円を超える見込みとなると、
配偶者の社会保険の扶養から外れます。
その場合、自社の社会保険加入基準(週30時間以上など)を満たして
いなければ、本人が自分で国民健康保険・国民年金に加入して保険料を
全額自己負担しなければなりません。
【「年収の壁・支援強化パッケージ」による特例措置】
一時的な繁忙や人手不足による残業などで、一時的に年間収入が130万円を
超える場合でも、事業主が「一時的な収入増加であること」を証明することで、
原則として連続2回まで、引き続き健康保険の扶養として認定される取扱いがあります。
この制度は当初「当面の措置」とされていましたが、2025年10月から恒久的な取扱い
となりました。
なお、恒常的に130万円以上の収入が見込まれる場合などは対象になりません。
「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について
【「扶養の範囲」で働く難しさ】
パート社員が「扶養から外れたくない」と考える背景の多くは、
「社会保険料が引かれて手取りが減ってしまうことへの不安」です。
しかし、正確なルールを知らないまま無理なシフト削減を行うと、
現場の人手不足が悪化するだけでなく、従業員自身の収入機会の損失にも
つながります。
自社の規模要件、従業員の労働時間、支給手当の内容を改めて棚卸しし、
一人ひとりと納得感のある働き方をすり合わせていきましょう。
扶養やシフト管理でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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★編集後記
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扶養に関して質問を受けるたびに、今回の記事のようなことを意識して
お伝えをしますが、多くのケースでお話の途中にわからなくなってしまう
ことが多いように思っています。。。
手続き上、誤りも多く、不備も出やすい分野になると思われますので、
心配な場合はお気軽にご相談いただきたいと思います。
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