雇用調整助成金【5月11日版】

おはようございます、山梨県南巨摩郡身延町の
社会保険労務士法人シャインの代表社員、中村です。

ここにきて、雇用調整助成金も迷走気味!?
今日も、この記事に追加するような
変更が出てくる可能性が高いです。

【休業者に「失業手当」!?】

日本経済新聞 2020/5/7 18:00 (2020/5/8 5:40更新)
「休業者に「失業手当」 コロナで特例、個人申請で迅速に」
で、助成金から失業手当給付の仕組みへ変えていく報道が出ました。

《以下、記事の抜粋》
『東日本大震災の際に被災地で導入した「みなし失業」
 と呼ぶ仕組みを使う。失業手当は通常、事業再開後に
 再び働く予定の人は受け取れないが、特例で受給を認める。』

『失業手当の額は収入や雇用保険料を払っていた年数などで異なり、
 上限は1日当たり8330円。厚労省は上限額などの引き上げも検討する。』

『雇用調整助成金は5月中旬にもオンライン申請を始めるほか、
 上限額の引き上げなども検討している。
 ただ企業の利用が伸び悩むなか、与野党から追加の
 対策を求める声があがっていた。』

【申請件数の伸びは?】

問い合わせの割りに、申請件数が伸びていない理由に、
おそらく以下のパターンが考えらえれます。

① そもそも「やっぱり申請が難しい」
② 申請の後出しができるのでその準備中
③ 制度が変わりすぎていて、問い合わせせざるを得ない
④ そもそも「製造」対策の助成金が他業種で使われる

どれも一定の数、あると思うのですが、
①のケースは1回の問い合わせで終わらない為、
複数回の問い合わせをしていると考えられます。

実際、前回記事でも触れているように、
こちらでご案内しても「作ってみるとよくわからない」
というのは、絶対にあると思われます(私もそうです)。

あとは、②と③の④組み合わせ。

②はよいとしても、③と④は問題が起きてきて、
その火消しを少しずつしている印象。

4月後半からほぼ毎日変更しているのは、
そもそも仕組みそのものがすべての業種を
カバーしきれない為だと言えるでしょう。

また今回、特に労務管理上、帳簿作成が難しい、
「観光」「飲食」という業界に最もダメージがあり、
零細であれば「労働時間」という概念もないように思われます。

【「みなし失業」とは?】

これは過去の事例、「令和元年台風」
に関するものをご紹介。
https://www.mhlw.go.jp/content/000563063.pdf?fbclid=IwAR37AgSqmoW76twb6u1qp7oTZInxY2_VMR1i7rDCCtg6-drBApnQkVehGGY

3 「災害時における雇用保険の特例措置」があります。
 災害の時点で被災地域内の事業所で勤務していた方について、
 ①災害により休業した場合、②災害により一時的に離職した場合に
 雇用保険の基本手当を受給できる特例措置があります。

通常、仕事をやめた後に申請する失業手当を、
仕事を休んだ時に代わりに使うというもの。

ただし、これは本人が積み上げてきた雇用保険料が、
ここで無くなってしまうという問題があります。

雇用調整助成金の大きな問題は、そもそも
「会社が一回、休業手当を払う(ここが大変)」
そして「申請しなければいけない(ここも大変)」

こちらの仕組みにすれば、休業手当の支払いがなくなり、
会社のキャッシュアウトは相当に抑えられます。

また「会社が申請してくれない」という問題も、
本人が申請することで解消されます。

問題は「自分の掛けてきた雇用保険がなくなる」
という部分となりますが、ここはなんとも難しいですね。

【5月中には大きい方針が示される】

どちらにいくにしても、この連休明けから、
雇用に関する助成関係について、方向性が示されるはず。

一社労士としては「手間があまりかからず、
救うべき人をしっかり救う仕組み」になっていくことを
期待しております。

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★編集後記
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書いているうちに随分長くなってしまいましたが、
雇用調整助成金は、実際「難しい」です。
社労士も相当嘆いています。

これからどうなるかわかりませんが、
「政策」の大切さを痛感する一事となりました。

※本記事の記載内容は、公開当時の
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