変形労働時間制は実務で使えるのか?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

しばらく止まっていた趣味の音楽活動を再開しようと、
先週末、久しぶりに知り合いのライヴに行きました。

やる側もおっかなびっくりの状況だったようですが、
徐々にそういう事も普通になりつつある感じがします。

以前のように戻ることはないかもしれませんが、
「やりたい」ということが早く出来るようになると
よいですし、子供の行事などはその影響が大きいですね。

【変形労働時間制とは?】

下記は厚生労働省HPから引用。

変形労働時間制は、労使協定または就業規則等において定めることにより、
一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定の労働時間を超えない
範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができます。

「変形労働時間制」には、(1)1ヶ月単位、(2)1年単位、(3)1週間単位があります。

少しわかりづらいかもしれませんが、通常、
1週40時間、1日8時間を超えて労働させては
いけないとなっています。

業態によっては、これではとても仕事にならない、
というところもあり、上記の原則を変形させて
労働させることも認めます、という制度になります。

もう少し具体的に言うと、例えば1ヶ月単位の変形であれば、
下記のような労働時間の設定も可能になります。
1週目 35時間
2週目 30時間
3週目 50時間
4週目 45時間
※わかりやすくするために4週としてあります。

各週の労働時間はバラバラですが、平均すると
40時間に収まっているのがわかると思います。

つまり、会社と労働者で変形労働時間の約束(協定)を
することで、一定のルールの元、労働時間の原則を
変形させてもOKということになります。

【よく使われる1年単位、1ヶ月単位】
変形労働時間制は上記3種がありますが、
特に使われるのが1年単位と1ヶ月単位の変形制です。

1ヶ月単位については、上記の例のような感じで、
各日、各週の労働時間を前もって設定することで、
1週40時間、1日8時間に縛られない労働が可能です。

1年単位はそれを1年間の中で行います。
具体的にゴルフ場やスキー場など、季節の影響が大きい
仕事などに向いていますが、工場などでの活用も多いです。

変形労働時間制を実務的なメリット・デメリットです。
(メリット)
・どうしても期間的な繁閑、拘束が長い場合の時間外労働を減らす
・シフト制などで、前もって労働時間を明確に出来る
・時間外労働を減らすことで、割増賃金を抑えることができる

(デメリット)
・運用する為に協定届などの準備が必要
・事前にシフト表を明確にする為、変更がしづらい
・誤った運用をすると、未払い賃金問題に繋がる可能性がある

基本的には1週40時間、1日8時間となりますが、
それを一部例外的に認めるのが変形労働時間制なので、
導入・運用に関しては、注意も必要です。

【実務上でメリットが出やすい使い方】
どういった業態などで使われているか、もう少し詳しくみていきます。

〇1ヶ月単位の導入事例
・シフトで長時間が労働が多い医療・介護系
・各週の労働時間のばらつきが多い小売業
・1日が長時間になりやすい飲食業

1ヶ月単位の労働時間制は、1日の拘束時間の上限がありません。
その為、上記医療関係などで、夜勤などがある場合、
夕方~翌朝の勤務といった、長い時間の拘束で用いられます。

また、小売業など営業時間に合わせたシフト勤務の場合、
どうしても週ごとの労働時間にばらつきが出やすいですが、
そうしたこともうまく使えば対応がしやすくなります。

〇1年単位の導入事例
・季節的な影響を受けやすいゴルフ場、スキー場
・1年の繁閑にあわせる製造業、建設業

一番わかりやすいのは「1年のこの時期が忙しい」
と判断しやすい業種はメリットが出やすくなります。

どうしても年度末に仕事が集中する、
季節的に一定の時期の労働時間が長くなる、
というような業態は導入を検討してもよいと思います。

細かい要件について、今回触れていませんが、
各社、導入に当たっての注意点が異なったりします。

運用でのエラーは、大きなトラブルの原因にもなり得ますので、
導入に当たっては一度、専門家である社労士に
相談することをオススメします。

【令和4年5月のweb通信です】
【テーマ】「労働条件通知にまつわる注意点!」
令和4年5月24日(火) 14時~15時
参加費:無料

申込はこちらから↓↓
https://forms.gle/Ab6JKppms257japP6

※web通信 前回のダイジェストです。

☆web通信案内ご希望の方はこちらよりメルマガ登録をお願いします!
https://i-magazine.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=shainsr&task=regist

—————————————————
★編集後記
—————————————————
働き方の見直しにあたり、変形労働時間制のニーズは
割と増えてきている感じがします。

各社「これまではこうだった」ということもありますが、
法律をうまく活用しながら、働きやすい労働環境を整備する為、
変形労働の導入を検討する価値は十分にあります。

《フォロー等大歓迎です!》
LINE  @sr-shain
facebook https://www.facebook.com/nakamura.sr
twitter @sr_shain

※本記事の記載内容は、公開当時の
法令・情報等に基づいています。

≪免責事項≫
本ウェブサイトに掲載する情報には充分に注意を
払っていますが、その内容について保証するもの
ではありません。本ウェブサイトの使用ならびに
閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。