最低賃金アップと業務改善助成金

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

お盆休みも終わり、8月も後半。
今年も残すところ約4カ月。
今年も走り切りたいと思います!

【令和4年 業務改善助成金 制度概要】
厚生労働省 業務改善助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

業務改善助成金は中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の
引上げを図るための制度です。

生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入
や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上
引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

簡単に言うと下記のようになります。
① 制度が示す枠組みの賃金を引き上げる

② 生産性向上に繋がる設備導入等を行い、その経費を補助する

令和4年度も前回の記事のとおり、最低賃金について、
全国加重平均31円アップを軸に動いている為、
最賃に近い会社は30円近い額を上げざるを得ない状況です。

最賃アップに対して、助成金はないのか?
という質問がこの時期は多いので、
一応、対応するのが業務改善助成金となります。

【助成金受給の為に行うべきこと(支給要件)】
1 賃金引上計画を策定すること
  事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)

2 引上げ後の賃金額を支払うこと(ポイントは下記の図のとおり)

3 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、
  人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、
  その費用を支払うこと

4 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと など

「3」の活用事例としては色々なものが示されています。
・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
・専門家のコンサルティングによる業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
・外部講師による従業員向けの研修、導入機器の操作研修
・外部団体等が行う人材育成セミナー等の受講

【具体的なポイントは?】
助成金なので、何より手順などが非常に重要です。
全体の流れは下記の図のようになります。

①助成金交付申請
助成金の取り組みに対する計画書のようなものです。
これを先に国に出さなければ、以下に要件に沿う内容でも、
助成はなされません。

この「交付申請」の内容に対して、国が問題ないと確認し、
はじめて助成金の対象になってくるという流れです。

今回、10月から最低賃金が引きあがることを考えると、
最低賃金アップにあわせて助成金を検討する場合、
9月中にはこの交付申請を行う必要があります。

また申請に当たり、経費がかかるものの相見積もりが
必要なので、その辺りの準備を先にしておく必要があります。

②計画実施
①の交付申請が国から問題ないと判断されると、
「交付決定」の通知が出されます。

計画の中で、例えば設備を購入するなどある場合は、
この交付決定が出されてからとなります。

その為、急ぎで設備が必要な場合などは、
この助成金を使うことが難しいです。

③実績報告
①の計画を実行したことを国に報告します。
具体的には計画した賃金の引上げ、計画にある設備等の導入、
支払が完了していることです。

設備は基本的に購入後の支払い状況が確認出来ないと、
助成の対象にならない為、領収書なども必要となります。

④助成金支払請求
③の報告を国が確認し、適正に取り組みが行われていると
確認されると、実際の助成金支給に移ります。

⑤状況報告
助成金支給後も、最低賃金等が適正に支払われているかなど、
確認を行います。

この中でも何度か触れていますが、とにかく助成金は、
手順や内容の一部でも不備があると取り組み全体が
しっかりしていても、助成されないケースが多くあります。

申請に当たっては、窓口でしっかりと確認して頂くか、
社労士など専門で行っているところに相談することが重要です。

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※web通信 前回のダイジェストです。

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★編集後記
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概要だけ見ると結構簡単そうですが、
やってみると結構大変な助成金です。

時間もあまりないので、確認することをしっかり確認しつつ、
適正に手続きを進めるのがポイントですので、
取り組む場合は、慎重に進めて頂きたいと思います。

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