月60時間超の残業をした場合の残業代は?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

4月に入り、賃上げに関する相談が、
全体として増えた感じがします。

「周りの会社は賃上げにどんな対応か?」
「賃上げをどのタイミングでするのがよいか?」
「賃上げをしないといけない雰囲気がある」

賃上げにおいては各社、少なからず意識をしないと
いけないような空気感があるということだと思います。

新型コロナへの対応が変化しつつありますが、
経済全体が上向きになるような流れが、
出てくることを期待しています。

【残業60時間超の割増賃金】
厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の 割増賃金率が
      引き上げられます
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

過去にも何度かこの話題に触れてきていますが、
「そもそも時間外労働の理解」がきちんとできていない、
そんなケースが多いように思います。

例えば下記のようなケース。
・月~金 1日8時間勤務(所定労働時間)
・日曜日 法定休日
・1日10時間、1週70時間労働した場合

法律では「1週40時間、1日8時間(法定労働時間)
を超えた場合、法定外労働時間として、割増賃金の支払いが必要」
となっています。

図でいうと「濃い青」の部分です。
・月~金 8時間を超えた2時間
・土曜日 週40時間を超えた時間
⇒この週の法定外労働(残業)=20時間

日曜日の10時間については、(法定)休日労働となり、
上記の「法定外労働」とは別でカウントします。

ここで大切なのは「この週の法定外労働は20時間で、
60時間に影響するのはこの労働時間のみ」ということです。
日曜の法定労働時間は含みません。

そしてもう一つ重要なのが「土曜のように、
週40時間を超えている場合は、1日通じて、
法定外労働となる」という点です。

週6日勤務するような業態(建設、サービス業など)は、
この部分の割増賃金をそもそも支払っていないというケースが、
かなり散見されますので、特に注意をして頂きたいです。

【月60時間超の残業(法定時間外労働)】

では、1カ月通じてみてみましょう。

先に触れたように、この例でも日曜日は「法定休日」
としている為、決められた労働時間(所定労働時間)
を超えていますが、60時間には含みません。

23日までの法定時間外労働の積み上げで
60時間に達している為、24日以降の時間外労働は
割増率が変わります。

具体的な割増率は下記のとおりです。
60時間以下の法定時間外労働=1.25倍以上
60時間以上の法定時間外労働=1.5倍以上

時給1,000円のケースであれば、23日までの残業は
1時間あたり1,250円で大丈夫ですが、24日以降は
1時間あたり1,500円以上支払う必要があります。

「60時間以上残業する場合は、割増賃金が増える」
という認識があっても、「どの時間を60時間に含めるか」
を間違っていれば、当然大きな事故の元です。

残業が多い会社は、今一度「残業になるのはどの時間か?」
をよくご確認頂き、給与計算の誤りにご注意頂きたいと思います。

【令和5年5月のweb通信のご案内】
【テーマ】『近時の法改正のおさらいと対応について』
令和5年5月23日(火) 14時~15時
講師:社会保険労務士 中村 仁(社会保険労務士法人シャイン 代表社員)
参加費:無料

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※web通信 前回のダイジェストです。

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★編集後記
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残業のカウントについては、かなり長くお付き合いしている
関与先でも確認して欲しいということが多くあります。

根本的なところを誤っていると、取り返しがつかないほど、
未払い残業の請求などに繋がる可能性がありますので、
この点は何度も確認をして頂きたいと思います。

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