「心理的安全性」を“ぬるま湯組織”と勘違いしていませんか?人事のプロが教える「本当の意味」
山梨、静岡を中心に活動する人事のお医者さん、
人事制度構築士の中村仁です。
6月に入りました!
週末、運動会等があって外に出ましたが、
夏の暑さが心配になる気温でした。
これまでも熱中症っぽくなったことが
数回ありましたが、今年も無理はしないで、
予防しながら生活したいと思います。
【「心理的安全性」と“ぬるま湯組織”?】
「心理的安全性」という言葉、最近あちこちで耳にしますよね。
しかし、現場のマネージャーや経営者の方々と話していると、
大きな誤解をされているケースに本当によく遭遇します。
「部下に気を遣って、ダメなところを注意できなくなるのでは?」
「言い訳ばかりする、ぬるま湯組織になってしまうんじゃないか?」
それは「心理的安全性」の本当の姿ではありません。むしろ、
真の心理的安全性は、組織に「健全な衝突」を生み出し、
業績を最大化するための経営戦略そのものです。
今回は、多くの人が陥りがちな誤解を解き明かし、人事のプロの視点から
「本当の意味」と、それを組織に組み込む方法を解説します。
【1. 多くの人が勘違いしている「ぬるま湯組織」の正体】
まず、誤解されがちな「ぬるま湯組織」と「心理的安全性がある組織」の
違いをすっきり整理しましょう。
心理的安全性(Psychological Safety)とは、Googleの社内調査
(プロジェクト・アリストテレス)で一躍有名になった概念で、
「組織の中で自分の意見や質問、懸念、あるいは失敗を口にしても、
誰からも拒絶されず、恥をかかされないと確信できる状態」を指します。
これを「アメとムチ」のバランスや、要求水準の高さと掛け合わせて考えると、
組織は以下の4つの状態に分類されます。

「心理的安全性=ぬるま湯」と誤解している人は、左上の状態をイメージしています。
しかし、私たちが目指すべきは右上の「ラーニング・ゾーン」です。
高い目標(ハイスタンダード)に向かって進むからこそ、途中で意見の対立や
失敗が生まれます。
その時に「責められない」という安心感があるから、メンバーは萎縮せずに
本音を言い合えるのです。
【2. 心理的安全性の「本当の意味」】
では、本当の意味での心理的安全性とは、組織に何をもたらすのでしょうか。
ポイントは3つあります。
①「仲良しクラブ」ではなく「高密度なフィードバック」
ぬるま湯組織では、相手を傷つけないために「耳の痛いこと」を言いません。
しかし、心理的安全性のある組織では、「このチームなら、厳しいフィードバックを
しても人間関係が壊れない」という信頼があります。
だからこそ、お互いの成長のために、遠慮なく本質的な指摘ができるのです。
②ミスを「隠す」から「即共有して改善する」へ
心理的安全性がない組織では、ミスをした個人が責められるため、
問題が発生しても隠蔽(いんぺい)されがちです。
本当の意味で安全な組織では、ミスは「個人の無能さ」ではなく
「システムの不備」と捉えられます。
すぐに報告が上がるため、大火事になる前に消火でき、
組織の学習スピードが圧倒的に速くなります。
③「人事制度」を機能させるためのOS(土台)
どんなに優れた評価制度や賃金制度を作っても、社内に
「本音を言ったら評価が下がるかも」「上司に目をつけられるかも」
という不安があれば、制度は形骸化します。
心理的安全性は、人事制度という「アプリケーション」を動かすための、
必要不可欠な「OS(基本ソフト)」なのです。
【3.「ぬるま湯」にさせない!心理的安全性を高めるファーストステップ】
「うちの現場、ちょっとぬるま湯かも…」あるいは「ギスギスして不安が
勝っているかも」と感じたら、まずは以下の3つのアプローチから始めてみてください。
Step 1:リーダーが「自分の弱みや失敗」を最初に見せる
メンバーに「失敗しても大丈夫」と口で言うだけでは伝わりません。
まずはリーダー自身が「いや〜、この前のプレゼン、的外れなこと
言っちゃって反省してるんだよね」と、自分の失敗や未熟さをオープンに
すること(自己開示)から始めましょう。
Step 2:発言に対する「リアクション」を徹底的に肯定する
会議で誰かが意見を発したとき、無反応だったり「それは無理でしょ」
と一蹴したりしていませんか?
たとえ採用できないアイデアであっても、「その視点で考えて意見を
出してくれたこと」自体をまず感謝し、肯定する文化を作ります。
Step 3:目標設定をセットで引き上げる
これが「ぬるま湯」にしないための最大の鍵です。
居心地の良さを担保すると同時に、チームの目標や期待値を高く設定します。
「心理的安全性」と「高い要求水準」は、車の両輪だと忘れないでください。
まとめ:心理的安全性は、ぬるま湯ではなく「最強の戦闘服」
心理的安全性とは、決してメンバーを甘やかすための免罪符ではありません。
むしろ、過酷なビジネスの戦場で、チーム全員が100%のパフォーマンスを発揮し、
お互いに背中を預け合って戦うための「最強の戦闘服」です。
「言いたいことが言えない空気」を壊し、誰もがのびのびと、かつ真剣に
成果を追い求められる組織へ。
当事務所では、制度と風土の両面から強い組織を作るサポートをしています。
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★編集後記
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「ハラスメント」と同じくらい?「心理的安全性」という言葉が、
「何を言ってもOK」という風土へ勘違いさせている傾向が
強くあると感じています。
あくまで「組織がより良くなる為の土壌の基礎」という点を、
社内全体で共有する必要があると考えます。
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