【人事制度構築士】「A4一枚評価制度」を導入した中小企業が、運用でつまづく3つのポイントと解決策
山梨、静岡を中心に活動する人事のお医者さん、
人事制度構築士の中村仁です。
このところ、ヴァンフォーレ甲府のにわかファンで、
元々は、たまたま近くで試合をやっていたので、
何気なく見に行ったのがきっかけでここ数試合観戦。
元々サッカーは少しやっていたので、
調子に乗ってボールをけりたくなりますが、
けがをするのが目に見えていますね(笑)。
【運用でつまづく3つのポイント?】
「大がかりな人事制度は自社には合わない」
「まずはシンプルに始めたい」
そう考えて、書籍などを参考に「A4一枚評価制度」を導入する中小企業が増えています。
用紙1枚、あるいはエクセル1シートに評価基準がまとまっているこの制度は、
スタート時のハードルが低く、一見すると中小企業に最適に思えます。
しかし、いざ運用を始めると、多くの会社が「結局、うまく機能していない…」
「形骸化してしまった」という壁にぶつかります。
なぜ、シンプルで分かりやすいはずの「A4一枚評価制度」でつまづいてしまうのか?
人事制度構築士の視点から、中小企業が陥りがちなポイントとその解決策を解説します。
【①「A4一枚=楽」という誤解(目標設定の崩壊)】
A4一枚評価制度の多くは、限られたスペースに「今期の重要目標」や
「行動指針」を絞り込んで記入するスタイルです。
ここでよく起こるのが、「枠が小さいから、適当に短く書けばいいや」
という意識の甘さです。
失敗例:
「売上アップに貢献する」「元気よく挨拶する」といった、具体性のない抽象的な
目標で埋め尽くされる。
結果として、期末の評価面談の際、「できた・できていない」の判断基準が上司と部下で
ズレてしまい、結局は上司の「主観」や「感情」で評価が決まるという、導入前より社員の
不満が増えていくという状態が起きやすいです。
【解決策】「上司部下の目線合わせをしっかり行う」
A4一枚は仕組みがシンプルなだけで、適当な目標設定は当然問題になります。
目標や行動基準を書くときは、「達成したかどうかを確認できるレベル」(数値化・状態化)
を上司部下で確認しておくことが重要です。
【②仕組みがシンプルなので「上司の評価スキル」が重要】
大企業の重厚な人事制度には、評価のバラつきを防ぐための「調整会議」や
「多面評価」など、多くのフィルター(言い換えれば、上司のスキル不足を
カバーする網)があります。
しかし、A4一枚評価制度にはそれがありません。
「上司と部下の1対1のコミュニケーション」が制度の成否に左右されます。
失敗例:
評価面談のやり方を知らない上司が、「最近どう?」と雑談だけして終わらせたり、
逆に「ここがダメだ」と説教するだけの時間にしてしまい、部下のモチベーションが下がる。
制度をシンプルにした分、「上司のマネジメントスキル(聴く力・伝える力)」
の差がダイレクトに評価の不満に繋がってしまうのです。
【解決策】コミュニケーションの質を重視する
評価シート(A4一枚)とは別に、月々のサポートシートを活用して、
定期的な振り返りとフィードバックをしっかり行うことが大切です。
「制度をシンプルにした分、定期的に15分の1on1を行う」など、
運用の仕組み(行動)をセットで行うことが大切です
(ここが一番、他の制度と違う運用のポイントです)。
【③評価を「給与」に直結させすぎて、不満に繋がる】
「A4一枚で評価して、そのまま給与や賞与の査定に繋げよう!」
「評価=給与に直結」と急ぎすぎるのも、中小企業がよくつまづくポイントです。
A4一枚評価制度は、要素を可能な限りシンプルにしている為、
良くも悪くも運用が重要です。
それなのに、1点の違いで給与が数万円も変わるような過激な連動を
させてしまうと、当然、社員は評価に過剰な対応をしてしまいます。
こうなると、社員は「自分の給与を守るため」に、絶対に達成できる低い目標
しか立てなくなり、会社からチャレンジ精神が消えていきます。
【解決策】「評価」の目的を「育成」にシフトする
A4一枚評価制度の最大の強みは、「目指すべき方向性をシンプルに従業員に伝えること」、
つまり人材育成にあります。
給与への連動は「範囲給」という割と緩めの設定をして、運用でカバーしながら、
まずは「できたこと・できなかったこと」を振り返り、次の成長に繋げるためのツール
として運用を定着させるのが大切です。
【人事制度は「作るのが1割、運用が9割」】
A4一枚評価制度は、中小企業にとって間違いなく強力な武器になります。
しかし、それは「適切に運用されれば」という条件付きです。
「紙を配って、書いて、集めるだけ」では、どんなに優れた制度も、
期待しているような効果は得られません。
今回の記事における運用の3つのポイントです。
1.目標を上司・部下でしっかり立てる事
2.上司に面談のやり方を教育すること
3.給与決定とあわせて「育成」を重視すること
この3つのポイントについて、制度設計のみならず、
運用のサポートまでしっかりと行います!
この3つを意識して、まずは「社長と社員が未来の話をするためのコミュニケーション
ツール」として、A4一枚の制度に命を吹き込んでいってください。
人事制度構築士として、単に「きれいな評価シート」を作るだけでなく、
貴社の風土に合わせた「本当に回り続ける運用体制」を伴走型でサポートしています。
制度の形骸化にお悩みの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。
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★編集後記
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実際企業で指導していても、制度はある程度作れて、
作り直しもききますが、運用はリアルタイムの対応が必要で、
個々の社員、会社の風土で対応が大きく異なったりもします。
人事制度を入れたけど、うまくいかない、、、
という会社は、是非「運用の見直し」を是非ご検討ください。
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