「背中を見て育て」が限界を迎える理由。中小企業に人事制度が必要な本当のタイミング
山梨、静岡を中心に活動する人事のお医者さん、
人事制度構築士の中村仁です。
5月も半ばに入りましたが、夏のような暑さで驚きです。
今年もこれから夏が始まると思うと、どんな暑さになるのか
心配でなりません。
【「背中を見て育て」が限界を迎える理由】
中小企業に人事制度が必要な本当のタイミング
「背中を見て育て」「仕事は盗むもの」
創業期から会社を支えてきた経営者やベテラン社員にとって、
これは当たり前の感覚だったかもしれません。
実際、組織が数人のうちは、社長と社員の距離が近く、
明確なルールがなくても「あうんの呼吸」で高い生産性を維持できます。
しかし、会社が成長し、社員が増えていく中で、この「背中を見て育て」
のマネジメントはある日突然、限界を迎えます。
なぜ職人堅気な背中教育が通用しなくなるのか、そして中小企業が
「人事制度」を導入すべき本当のタイミングはいつなのか。
人事制度構築士の視点から、リアルな現実と解決策をお伝えします。
【なぜ「背中を見て育て」は限界を迎えるのか?】
結論から言うと、組織の規模が変われば、集まる人材の
「前提」が変わるからです。
限界を迎える主な原因は3つあります。
① 「見て盗める」のは、初期メンバーの熱量とセンスがあるから
創業期のメンバーは、経営者との距離が近く、会社のビジョンを肌で
感じています。
また、リスクを取って入社したメンバーだからこそ、主体性や
ビジネスセンスも高い傾向にあります。
しかし、組織が拡大して入社してくる社員は、必ずしも同じ熱量や
センスを持っているとは限りません。
「具体的な指示」や「明確な基準」がなければ、どう動いていいか
戸惑ってしまうのです。
② 正解が分からないまま放置され、若手が「サイレント離職」する
今の若手社員の多くは、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や
「効率的な成長」を重視する傾向があります。
「背中を見て覚えろ」と言われると、放置されている、あるいは会社に
育てる気がないと受け取ってしまいます。
結果として、不満を口にすることなく、ある日突然「次の会社が決まったので
辞めます」と退職届を出してしまうのです。
③ ベテランの背中が「属人化(ブラックボックス)」を加速させる
「あの人のやり方は、あの人にしかできない」という状態は、
一見カッコよく見えますが、経営リスクでしかありません。
そのベテランが退職したり、体調を崩したりした瞬間に、業務が完全に
ストップしてしまうからです。
【人事制度が必要な「本当のタイミング」とは?】
「うちはまだ15人だし、人事制度なんて大げさなものは早い」
そう考えている経営者の方は非常に多いですが、実はそれは誤解です。
中小企業が人事制度を検討・導入すべき具体的なサイン(タイミング)は、
以下の3つの変化が現れたときです。
サインA:【社員数】「10人の壁」「30人の壁」にぶつかったとき
組織運営において、社長が1人で直接マネジメントできる限界は「7〜10人」
と言われています。
10人を超えたとき
社長が全員の行動を細かく見られなくなり、評価に「ばらつき」
や「勘違い」が生まれ始めます。
30人を超えたとき
間に「中間管理職(マネージャー)」が必要になりますが、
評価や教育の基準がないため、管理職が機能しません。
サインB:【社内の空気】「評価への不満」が耳に入り始めたとき
「なぜあの人が昇給して、自分が据え置きなのか分からない」
「社長のお気に入りだけが優遇されている気がする」
こうした声が社内から聞こえたり、退職理由に繋がっていたりする場合、
一刻も早い制度化が必要です。
サインC:【経営者の悩み】社長が「現場のトラブル対応」に追われているとき
本来、社長の仕事は「これからの未来(経営戦略)」を作る合戦です。
しかし、評価や教育の基準がないために、社内の人間関係の調整や、
育たない部下のフォローなど「現場の火消し」に時間を奪われているなら、
それは仕組み(人事制度)を導入すべき最大のタイミングです。
【「背中」から「仕組み」へ切り替える3つのステップ】
では、「背中を見て育て」から脱却し、中小企業にフィットする人事制度を
入れるには、何から始めればよいのでしょうか。
ステップ1:「我が社で活躍する人」の定義を言語化する
まずは社長の頭の中にある「こういう動きをしてほしい」「こういう姿勢を
評価したい」という基準を、言葉にして書き出します。
これが「評価基準(求める人物像)」の土台になります。
ステップ2:「どうなれば給与が上がるか」の階段(キャリアパス)を作る
「一般社員 → 主任 → 課長」といった等級ごとに、求められる役割と、
それに連動する給与の範囲を決めます。
これにより、社員は「次に何を頑張ればいいか」のロードマップが
見えるようになります。
ステップ3:点数をつけるためではなく、「育てるため」に運用する
人事制度を「給与を削るための道具」や「単なる査定」にしてはいけません。
評価をもとに「どこができていて、どこが課題か」をフィードバックする面談の
仕組みをセットで回すことが、最も重要です。
【人事制度は、会社が「次のステージ」へ進むための切符】
「背中を見て育て」のマネジメントは、創業期の熱量を支えた素晴らしい文化です。
しかし、会社がさらに成長し、社員の幸せを守りながら組織を強くしていくためには、
どこかで「個人の職人技」から「組織の仕組み」へと脱皮しなければなりません。
人事制度は、大企業のためだけにあるものではありません。
むしろ、限られた人材で戦う中小企業だからこそ、社員のエンゲージメント
を高め、採用力を強化するための最強の武器になります。
「最近、組織の空気が変わってきたな」「社長の目が届かなくなってきたな」
と感じたら、それがまさに、自社に最適な人事制度を構築し始める
ベストタイミングです。
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★編集後記
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人事制度が必要になるタイミングは、会社によってそれぞれだと思いますが、
「社員に目が届かなくなる」という点がポイントになる会社は多いようです。
社員とのコミュニケーションの改善にもつながるツールではあるので、
本記事のようなお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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