中小企業の年次有給休暇の取得状況は?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
いわゆる「ゴールデンウィーク」もあっという間に終わり。
今年はそれなりに人手も戻っていたと思うので、
多少観光産業にもよい影響があったのでは??
このままの状況で、、、とはいかないかもしれませんが、
参院選を境にコロナの扱いも変わるのでは、という見方もあるので、
今夏あたりを境に少し状況が好転することを期待したいです!
【年次有給休暇の取得状況(統計)】
厚生労働省 令和3年就労条件総合調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaikyou.pdf
この中で年次有給休暇(以下「年休」という)の統計があります。
統計を見ると、中小零細と言える10-99人の企業平均で
1人の平均取得日数8.8日で取得率51.2%とのこと。
年休が10日あるとすれば、5日程度は皆使っている
という計算になりますが、50%を少し超えているというのは、
付与義務である5日に乗せている印象があります。
また業種でみると「卸売業、小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」
「生活関連サービス業,娯楽業」「教育,学習支援業」
の取得日数が低めに出ており、人手不足が厳しい業種と思われます。
また2019年4月から年休の付与義務が始まって、
この3月でちょうど3年が経ち、一定の浸透が進んだ、
という見方も出来るように思われます。
【顧問先等から見る年休の実態】
弊社の関与先でも、社労士に依頼をするということで、
社労士の関与がない会社と比べれば高いと思われ、
規模の大小に関わらず、取り組んでいると思います。
ただ「取り組まないといけない」ということはわかっていても、
仕事の現場のことを考えると、十分に年休を使う、
という状況は中々難しいのが実際のように感じられます。
年休付与義務が開始になった当初、ある弁護士の研修で、
「中小企業がこの制度を乗り切るのは相当難しい」と、
計画的付与などを用いる方法を提案していました。
私も個人的には、個々が自主的に取ってくれれば良いと思いますが、
業種によってはそれが中々進まないこともあったり、
年休取得が進んでいる会社の中でも個人差は大きいです。
はっきり「この業種のこの規模以上」というのは言い切れませんが、
やはり年休の管理が難しい業種、規模においていは、
計画的付与で一定の日数を取得させるのは必要だろうと考えます。
【年休の計画的付与とは?】
厚生労働省 有給休暇ハンドブック
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf
こちらのリンクの5ページ以降で計画的付与について
触れています。
簡単に言えば「本人が権利として持っている年休の、
5日以上の分を、会社と労働者代表で協定して、
年休使用の日を決定する」というものです。
その為、付与義務となっている5日について、
計画的付与を使い、義務となる日数の年休取得を
完了させることができます。
製造業、建設業などのように、ある程度、全体が一緒に
動くような業種では、年間で休む日も決まっていたりするので、
使いやすいように思われます。
人手不足の中で、年休の付与が難しいというのはよくわかりますが、
5日の付与を進めないと法的な部分のクリアが出来ません。
まずはどうやって「各社員に5日の年休を使ってもらうか」
を考えていかなければいけないでしょう。
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★編集後記
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年休はまだまだ制度が十分に浸透しているとは言えないですが、
しかし、今やっておかないとその差はとても大きくなります。
ここ2~3年の間にしっかり年休の付与義務はクリアしたい課題として、
今出来ていない会社はすぐに取り組んで頂きたいと思います。
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