2024年4月からの労働条件通知書の変更は?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
今年がはじまり約2週間が経ちました。
昨年までコロナや、家庭の事情で、
少し出づらかった状況を変えています。
人に会うような機会が増えてくると、
「直接人に会うエネルギー」は、
磨き続けていないと錆びる感じがしています(笑)。
この冬もまた少し感染症が目立っていますが、
出来るだけ「多くの人に会う」ということを、
今年は徹底してやっていきたいと思います。
【2024年4月からの労働条件通知書の変更は?】
厚生労働省 令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
今年4月から労働条件通知書の通知内容に変更があります。
割と地味な法改正内容かもしれませんが、
実務上は非常に重要な法改正となっています。
細かい用語の確認などはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156048.pdf
そもそも「労働条件通知書」を知らないという会社も多く、
労基法等で決められた項目(労働条件に関するもの)を
書面で通知するものとなります。
今回の改正内容も含めたモデル例はこちらです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156118.pdf
例えば、「労働時間・休日」「賃金の額」「賃金の計算期間」など。
雇い入れ時に労働者には伝えている内容だと思いますが、
こういったものを「書面」で明示する制度となります。
以下が、法改正のポイントです。
1.就業場所・業務の変更の範囲
これまでは基本的に「今働く場所や業務」についての
明示が必要でした。
逆に言えば「今後どうなるか」は条件通知書では、
明示することまでは求められていなかったです。
今回の法改正では「今はこうだけど、今後こうなる可能性が
あります」ということも含めて、明示が必要になりました。
段々と労働契約の内容が細かくなってきたことを受け、
今回の改正が進められていると考えられます。
法改正を受けて、明示しないことで、仮に異動や職務変更があった場合、
トラブルに発展する可能性が高まりますので、注意が必要です。
2.更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)
の有無とその内容の明示
有期契約労働者(契約期間のある労働者)に対して、
文字通り「契約期間」又は「更新回数」に上限がある場合、
明示をするという内容です。
例えば、元々2年間しか契約しないということであれば、
「2年間」を明示しておく、ということです。
また「3回以上は契約更新しない」ということであれば、
そのことを明示しておくということです。
ある程度、大きい会社の場合、契約を限定する、
ということは想定されるかもしれませんが、
人手不足の中小企業で上限を設ける場面は少ないかもしれません。
ただし、事情があって上限を設けておく必要があれば、
きちんと明示しておく必要が出てきます。
3.無期転換申込機会・無期転換後の労働条件
厚生労働省 無期転換ルールについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21917.html
そもそも「無期転換ルール」が難しいのですが、
有期契約労働者が5年を超えて働く場合、
本人が希望することで無期転換できるというルールです。
無期転換とは、簡単に言えば「その会社の定年まで働ける」
契約に変更するかたちになります。
無期転換ルール自体は平成25年の改正でスタートしたものの、
いまいち浸透していない部分もあり、今回のように、
「無期転換できる社員に明示すること」に改正されたように思われます。
今後は、労働条件通知書の中で「無期転換できます」という通知と、
「転換した場合の契約内容」について明示が必要になります。
現場でみていると、無期転換出来る社員も「あえてしない」
というケースも多いようなので、通知をすることで、
すぐに状況が変化することもないような気がします。
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★編集後記
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考えてみると、労働契約をここまで意識することは、
ここ10年くらいの大きな変化のひとつに思われ、
それだけ労働者の意識も強まっているということだと思います。
会社側も「こうしたことをきちんとしないと人手不足で苦しむ」
というのが実際のところでしょうから、大変ではありますが、
対応していく必要があると考えています。
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