社会保険「算定基礎届」のポイントを社労士が解説!

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

周りでは「梅雨があける」という話題が多く、
あっという間に夏がやってくる感じですね。

まだ夜は多少涼しいのでよいですが、
今夏も眠れないような暑さがやってきそうなので、
体調管理に十分気を付けたいところです。

【社会保険「算定基礎届」のポイントを社労士が解説】
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.html

毎年夏にやってくる社会保険の手続き、「算定基礎届」。
社員の方々の社会保険料を正しく決定するための重要な手続きです。
特に小規模の企業様では、人事担当者が他の業務と兼任しているケースも多く、
準備が遅れがちになることも。

そこで今回は、令和7年(2025年)の算定基礎届について、
中小企業の経営者様、ご担当者様が押さえておくべきポイント
を分かりやすく解説します。

◆算定基礎届とは?
算定基礎届とは、毎年7月1日現在の全被保険者を対象に、
4月・5月・6月に支払った賃金の平均額を届け出る手続きです。

この届出内容に基づき、その年の9月から翌年8月までの
新しい「標準報酬月額」が決定されます。
この標準報酬月額が、健康保険料や厚生年金保険料の計算の基礎となります。

◆令和7年 算定基礎届の提出期間
令和7年の提出期間は、7月1日(火)から7月10日(木)までです。
例年、6月中旬頃に日本年金機構から事業主の皆様へ算定基礎届の
用紙が郵送されます。
期間が短いため、早めに準備を始めましょう。

◆小規模の企業様が注意すべき3つのポイン
1. 対象者の確認を正確に
算定基礎届の対象となるのは、7月1日時点で
社会保険に加入している全従業員です。
パート・アルバイトの方でも、社会保険の加入要件を
満たしていれば対象となります。

【対象外となる主なケース】
・令和7年6月1日以降に入社した方
・令和7年6月30日以前に退職した方
・7月に月額変更届を提出する方

従業員の入退社が多い時期は、対象者の
リストアップを慎重に行いましょう。

2. 「報酬」に含めるものを正しく理解する
標準報酬月額の計算基礎となる「報酬」には、
基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、住宅手当、
役職手当など、労働の対償として支払われるものが含まれます。

【間違いやすいポイント】
通勤手当: 6ヶ月定期代などを一括で支給している場合でも、
1ヶ月あたりの金額に按分して各月の報酬に含める必要があります。

賞与: 年4回以上支給される賞与は報酬に含めますが、
年3回以下のものは「標準賞与額」として別途手続きを行うため、
算定基礎届の計算には含めません。

国税庁の所得税の考え方とは異なる部分があるため、
社会保険における「報酬」の範囲を正しく理解することが重要です。

3. 支払基礎日数の確認
原則として、4月・5月・6月のうち、
支払基礎日数が17日以上ある月の報酬を計算の対象とします。

月給者の場合: 暦日数(30日や31日)が支払基礎日数となります。

時給・日給者の場合: 実際に出勤した日数が支払基礎日数となります。

【注意点】
短時間労働者(パートタイマー)の場合は、
支払基礎日数が11日以上ある月が対象となります。

休職などで3ヶ月とも支払基礎日数が17日
(短時間労働者は11日)未満の場合は、
従来の標準報酬月額が継続されます。

電子申請の活用で業務効率アップ!
算定基礎届は、郵送や窓口提出のほか、e-Gov(電子政府の総合窓口)
からの電子申請が可能です。
小規模の企業様であれば、電子申請に切り替えることで、
手続きの時間を大幅に削減できます。

まとめ
算定基礎届は、年に一度の重要な手続きです。
誤った内容で提出してしまうと、保険料の追徴や
還付といった余計な手間が発生するだけでなく、
社員からの信頼を損なうことにもなりかねません。

本記事を参考に、お早めに準備を進めていただき、ご不明な点があれば、
管轄の年金事務所や弊社にお気軽にご相談ください。

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★編集後記
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お客様のところでも「手続きを忘れていた」
「正しい手続きがされておらず保険料が変わった」
などの事案が多い算定基礎届。

その時々で手続きの内容が変わったりすることが多いので、
不安に感じる部分は、確認しながら進めて頂ければと思います。

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