小さな会社も人事制度を入れるメリットは!?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
ゴールデンウィークに突入しましたが、
今回は新型コロナの影響で寂しい連休に?
私も家族で近場をウロウロしたり、
映画や読書で時間を過ごしています。
さて、本題です。
【小さな会社に人事制度が必要?】
規模としては30名くらいになってくると、
「人事制度を入れてみたい」という相談が、
なんとなく出てくる機会が増える気がします。
制度を入れる「目的」にもよりますが、
あっていい事と悪い事はあると思います。
社員のモチベーションアップ、教育などに
活用できれば「メリット」として、
良い方向に効果が発揮されると考えられます。
逆に「処遇の決定」を中心に考えると、
調整などが入ってしまい、かえって
適正な活用は難しい部分が出やすいかもしれません。
今回、導入すると大きなメリットに、
「同一労働同一賃金(以下、「DD」」対策として、
効果が見込めるという視点を考えてみます。
【人事制度導入=DD対策とは?】
DDも説明すると難しい制度ですが、
簡単に言えば「賃金などの決定基準が同じなら、
賃金等も同様に扱ってください」となります。
では賃金の決定基準を正社員とパート・有期社員で、
分けることは問題があるでしょうか?
法律制定に関わった水町勇一郎教授は
著書の中で下記のように触れています。
『日本では基本給について「同一労働同一賃金」(職務給)
とすることを必ずしも原則としておらず、職務給、職能給、
成果給、勤続給などいかなる基本給制度をとるかは企業や労使の
選択に委ねられるものとされている。」
『今回の日本の改革では、基本給の制度の在り方自体は
労使の選択に委ね、それぞれの制度の性質・目的に照らして
正規労働者と非正規労働者との公正な取り扱いを求めており、
『均衡』待遇とは前提が異なる場合に前提の違いに応じた
バランスの取れた待遇を求めることである。』
(水町勇一郎『同一労働同一賃金のすべて(新版)」(172頁)
表現が難しいですが、賃金の決定基準については、
労使(会社と従業員)で決めることに委ねています、となります。
その上で、正社員とパート・有期社員の基本級についての
決定基準・ルールの相違がある場合は、基本給の相違について
「不合理と認められる」基準がないため、認定が難しいと考えられます。
【具体的に考えてみると?】
例えば、正社員の人事制度の中で「A~Eの仕事があり、
その役割や能力・成果に応じて、賃金を決定する」となっていた場合、
正社員の賃金の決定基準の枠組みが出来ています。
続いてパート・有期社員について「F~Iの仕事があり、
それらの仕事の処理能力に応じて賃金を決定する」とした場合、
正社員の枠組みとは異なることになります。
このように決定基準が違った場合に、基本給に不合理な差があるか?
と言ってもそもそも比較ができない為、不合理とまで言い切ることが
難しくなるというところです。
正規とパートが近いような仕事をしていたとしても、
そもそも仕事の枠組みが違うという説明もつきやすいでしょう。
少し説明がくどく、遠回りとなりましたが、人事制度は、
DD対策としても非常に有効なものと言える、と考えられます。
【令和3年5月のweb通信です】
テーマ:『社労士から見た「働き手から選ばれる会社」とは?』
令和3年5月18日(火)14時~15時
ゲスト:社会保険労務士 米澤裕美氏(米澤社会保険労務士事務所)
参加費:無料
申込みはこちらから↓
https://forms.gle/pRKXVCz7XVYK4atz6
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★編集後記
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いまだに随分難解な「同一労働同一賃金」ですが、
ここ数年が手を打つには最も適したタイミングでしょう。
弊社のお客様のところでも、特にパート・有期社員が
多い会社については、改めて賃金や手当を
法的に問題がないように整理して頂いています。
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