令和3年度 最低賃金の行方は?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

あまり興味がなかった、、、というと色々言われそうですが、
オリンピックがあっという間に終わったようです。

興味がない人間に限って、縁あって聖火トーチを持たせて頂くという
意外な巡りあわせがありました。

それはそれとして、新型コロナの影響が気になります。
今回はそんな話題にかなり関係したものです。

【令和3年度 最低賃金の行方は?】

県内の労働者に適用される1時間当たりの最低賃金について、
 山梨地方最低賃金審議会は5日、28円引き上げて866円とするよう
 山梨労働局の生方勝局長に答申した。
https://www.sannichi.co.jp/article/2021/08/06/00519899
山梨日日新聞電子版 2021年8月6日
「最低賃金28円引上げ」より引用

当初から「28円」という額が話題になっていましたが、
おそらく山梨の最低賃金は28円引上げの866円で、
決定されるものと思われます。

まだまだ新型コロナ感染症の影響が色濃い中で、
雇用調整助成金の特例を年内いっぱいまで延長した背景に、
この最低賃金引き上げの大幅引き上げがあったということです。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/118202
東京新聞 2021年7月21日
「雇用調整助成金の特例年内延長へ 最低賃金引き上げを考慮」

【最低賃金の推移】
山梨に関していえば、昨年1円引上げとなりましたが、
下記のような状況です。

2016(H28) 759円
2017(H29) 784円(+25円)
2018(H30) 810円(+26円)
2019(R1)  837円(+27円)
2020(R2)  838円(+1円)

先進国の中で、賃金水準が低いということで、
全国の加重平均を1,000円にしたいという流れの中で、
このように推移してきました。

ここ5年くらいで見ても100円近い金額があがっています。
時給額が影響するのは主にパートタイマーで、
採用の現場でいえば「最低賃金+100円」が目安とも言われます。

特にコロナ禍で大きな影響を受けながら、
パートタイマーが多い飲食業などは、
この影響が非常に大きく出るように考えています。

近時、山梨県内でも飲食店の閉店が目に見えるくらいに
多いと感じているので、この影響は益々深刻になるでしょう。

【実務的な影響は!?】
私個人の感覚でも、数年前「山梨で800円」という時給は、
ひとつの心理的なハードルでしたが、それを軽く超えて、
今では800円台半ばの金額になってきています。

つまり、雇用の現場において、800円近辺だった時給を、
いきなり100円も上げるということは難しいことから、
今、ほぼ最低賃金と同額程度の時給者は増加していると考えられます。

そして、今回のように28円の引上げは、
「各社の一番低い賃金額」に迫る額になるでしょうから、
全体的な賃金引き上げが生じる可能性が出てきます。

また、例えば今の時点で850円近辺の時給者がいた場合、
新しく入ってくるパートタイマー等と同じ額だと問題になると考え、
同じく20~30円の時給を上げるケースは多いでしょう。

先日もある社長と「この20~30年、新卒者の初任給が変わらない」
という話をしましたが、全体の賃金水準は上がっておらず、
それは経済全体の問題とも関係してきます。

「どう対応していくのがよいのか」という質問が多くありますが、
社内の賃金バランスと人件費のバランスを見ながら、
調整を検討していく他ないと考えています。

働き方改革が労働時間に規制を掛けていることも考えれば、
「より付加価値の高い仕事のやり方」を中小企業も、
今以上に真剣に考え、取り組む状況になってきていると言えるでしょう。

【令和3年8月のweb通信です】
テーマ:『定年と70歳雇用について』
令和3年8月24日(火)14時~15時
参加費:無料

申込みはこちらから↓
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7月のダイジェストはこちら

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★編集後記
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毎年、最低賃金の改定がある10月は、
結構重い時期になってきていると感じています。

弊社でもお客様とこの局面を乗り越える為に、
色々に方策を考えていければと思っています。

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