「実質賃金」から考える賃上げ?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

関東は梅雨入りした?とのお話。
じめじめして、体調を崩しやすい時期ですね。

定額減税が始まって、この夏の経済指標への影響が
気になるところですが、今回はその予習です。

【実質賃金マイナス?】
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果速報
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2404p/dl/pdf2404p.pdf

毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果速報 を公表します
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2404p/dl/houdou2404p.pdf

このところの報道で「実質賃金マイナス」
という言葉を聞くことが多いのではないでしょうか?

賃金は名目賃金と実質賃金で表現されることがあります。

名目賃金…支払われた貨幣額で示された賃金を「名目賃金」

実質賃金…労働者が実際に受け取った給与である名目賃金から、
     消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いて
     算出した指数

簡単にいうと、名目賃金は「受け取った賃金額」、
実質賃金は「名目賃金と物価を比較して出す指数」です。

例えば名目賃金が2%アップとなった場合、
月額30万円の賃金額が6,000円アップして、
306,000円になった状態です。

これに対して、実質賃金というのは、せっかく賃上げしても、
物価全体が3%アップすると、先の6,000円アップで、
見た目の金額が増えたものの、買い物するのが厳しくなるイメージです。

今、買い物をする時に「随分高いな」と感じることが多いのは、
賃上げされたとしても、物価全体が上がっているから、
結局「賃上げ幅が物価上昇に追いついていない」ということになります。

今、政府は「物価上昇を上回る賃上げ上昇(実質賃金上げ」を目指して、
色々な方針を打ち出している、ということです。

今回の4月の指標で見ると、名目賃金2.1%増に対して、
実質賃金が0.7%マイナスとなっており、賃金額は上がっているものの、
物価上昇に追いついていない状態が25カ月連続とのことです。

【中小企業で賃上げをどう考えるか?】
「どのくらい賃上げをすればよいか?」という相談に対し、
ある程度、枠組みで考えてしまった方がよいと考えています。

賃上げの目安としては3~5%程度で、実務的に、
3%上げられれば、まずまずのように思います。

例えば基本給30万円を支払っている場合、
30万円×0.3%=9,000円

どうでしょうか?
実際、今回の賃上げ幅としては、
このくらいがひとつの目安になるかと思われます。

もう一つの視点として、「時給者の上げ幅くらいは
上げておきたい」というものです。

現状、最低賃金が40円程度上がっていることを考え、
月の労働時間(会社によって異なる)について、
約170時間で考えておけば間違いありません。

40円×170時間=6,800円

フルタイムの時給者については、この位上がっている、
というのが実際のところです。

報道ベースで見ていても、中小企業の価格転嫁は進んでいない、
ということですが、実質的に賃金がこれだけ上がるので、
やはり「価格を上げていく」ことは逃れられない状況ではないでしょうか?

あくまで目安ではありますが、現状の賃上げについては、
このくらい急速に進んでいるというところです。

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★編集後記
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3%の賃上げ、というのは、数字で見ると、
結構厳しいものがあると言わざるを得ないでしょう。

しかし、様々な情勢を考えると、この位の対応が
まだまだしばらく続いていくように思われます。

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