令和6年10月からの社保適用拡大?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
近時の政策議論の中で、社会保険関係の枠組みの
見直しが相当現実的になってきました。
お客様とも「5年後には現行の基本ルールは、
かなり変わる可能性が高いので、一応それを見据えて
準備をしておいたほうがよいかも」という話をしています。
今回は、ひとまず見えている直前内容のおさらいです。
【令和6年10月からの社保適用拡大?】
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
通知関係が増えているのか、お客様からの問い合わせも多い
社会保険の適用拡大。
基本ルールのおさらいです。
①労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
②労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
(例)
一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、
1月の所定労働日数が20日である場合
・週の所定労働時間40時間×4分の3以上=30時間以上
・1月の所定労働日数20日×4分の3以上=15日以上
社会保険の加入要件は(役員など一部除きますが)
基本的には「労働時間」で判断します。
その為、極端な話、時給が相当高いようなパートタイマーでも
労働時間が短ければ、社会保険に加入することはできません。
よくある質問として「保険加入者は選択できるのか?」
というものですが、基本的には労働時間(契約内容)によるため、
契約内容で明確にしておく必要があります。
あわせて、労働時間の契約がフルタイムの3/4以下でも、
実際の労働時間が3/4を恒常的に超えている場合は、
保険加入となる可能性があります。
【短時間労働者の新基準】
上記3/4のルールによらず、週20時間以上勤務するパートタイマーも
「短時間労働者」として社会保険加入となる場合があります。
現状は「2022年10月から、従業員数101人~500人の企業等で働く
パート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。」
この従業員数は「社会保険に加入している数」となりますので、
全従業員数が150人いても、社会保険加入者が50人の場合は、
101人未満として判断されます。
今回の変更で「2024年10月から、従業員数51人~100人の企業等で働く
パート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。」
従業員数の考え方は上記と同様ですので、50人以上従業員がいても、
社会保険加入者が少なければ、該当になりません。
その上で、下記の要件を満たす場合に社保加入となります。
「週20時間以上」というのが目立ちますが、
その他の要件を満たしている必要もある為、例えば、
週20時間以上勤務でも時給が低い場合、対象外です。
具体的に考えると、週20時間勤務、時給950円の場合。
月の労働時間が4週×20時間+αで85時間程度と考え、
85時間×950円=80,750円となり、8.8万円を満たしません。
この8.8万円も残業代や通勤手当を含まないなど、
一定のルールがありますので、あわせて確認が必要です。
51人以上、社会保険加入者となると、地方の中小企業では、
それなりの規模の会社になると思われます。
すでに準備はなされていると思いますが、ルール自体を再確認頂き、
特に「入るべき会社」の場合は、実務的な準備が必要となります。
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★編集後記
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社会保険の適用は今般の議論の中でも、
「パートを全般的に加入させる」流れのようです。
人手不足と言われる中で、労使ともにブレーキになりうる
施策のようにも思われますが、足元の内容をきちんと確認しておきましょう。
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