近時の同一労働同一賃金の状況について

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

9月に入ってから、少し涼しくなったなと思いきや、
また暑い日が続き、先週末あたりからまた涼しい、、、
というなんとも落ち着かない気候ですね。

最近は春秋がなく、夏冬が長いと言われますが、
まさしくそのような季節感になりつつある気もします。

体調を崩しやすい時期になりますので、
お互いに気を付けたいものです。

【近時の同一労働同一賃金の状況について】
厚生労働省 同一労働同一賃金の遵守徹底に向けた取組の実施状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001183823.pdf

働き方改革が2019年にスタートして、同一労働同一賃金(以下「DD」)について、
時間外労働の上限規制に比べると、あまり耳にする機会がないような印象でした。

しかし、ここ数年で静かに、でも確実に法施行を進めている
国の姿勢が見て取れます。

厚生労働省
令和5年度の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における
雇用均等関係法令の施行状況について
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001274451.pdf

こちらで注目したいのが「パートタイム・有期雇用労働法」
(以下「有パ法」)。
件数が令和3・4年度と比較して明らかに増加しています。

なお、この法律で対象となる「パートタイム・有期」は法的には下記のような定義になります。
パートタイマー:正社員(通常の労働者)と比較して1週間の所定労働時間が短い労働者
有期雇用:有期雇用(1年や3年など定めがある労働契約)で働く労働者

これは労働基準監督署(以下、「労基署」)との連携が進んでいるから、
というのが大きな理由と考えられます。

賃金関係に直接触れる機会が多い労基署の定期監督時に
非正規の待遇確認を進め、その内容を有パ法を管轄する
雇用・環境均等室に繋いでいるということがその内容です。

【有パ法の指導内容とは?】
更に、増加している有パ法の指導内容を細かく見たのが下表です。

いくつかの内容が突出していますが、DD関係にあたる
第8条関係、第14条1項関係などが気になるところです。

条文だけ見てもわからないと思いますが、ざっくりいうと、
下記のような内容です。

第8条 正規と非正規の待遇等で不合理と認められる差を設けてはならない。

第14条1項 非正規の雇用管理に関する説明の実施(詳しくは下のとおり)

特に8条関係の「基本給、賞与その他の待遇」については、
具体的に改善が必要となるケースもあり得ます。

例えば、実務的には「正規にのみ通勤手当がある」というのは、
「不合理と認められる待遇差」という判断を受け、
指導の対象となり得ると考えられます。

また近時多いのは「慶弔休暇」に関する差の指摘と言われています。
正規のみ「慶弔(特別)休暇」があり、非正規にない場合、
指導が行われているという話です。

その他、手当(家族手当、住宅手当など)や基本給なども、
裁判が行われ、色々な事例が出てきているところなので、
今後も注意が必要な部分になっています。

非常に遠回りな法律なので「何をしたいのか」ということですが、
具体的には「いわゆる非正規労働者の待遇改善」が目的とされている為、
今後も「非正規であることを理由に待遇差がある」のは問題視されていきます。

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★編集後記
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この法律自体、現場で非常にわかりづらい為、
今回の内容をもって理解するのは難しいですが、
確実に法律が動いている、というところです。

今、最低賃金も大幅に上がる中で、
その他の待遇なども含めて法律的にも、
対応が必要になってきているとご理解頂ければと思います。

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