中小企業がほとんど出来ていない「割増賃金」の計算とは?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

新型コロナの変異株の話はありますが、、、
若干、仕事上も人の流れが増えているように思われ、
私も少し前に比べるとだいぶ外に出ることが増えました。

web会議でもやりとりは出来るのですが、
直接会ってやりとりする情報量は、
やはりかなり大きく違うことがよくわかります。

来年はお客様とのやりとりの方法についても、
様々な方法がとれるようになってきたので、
改めて考えていきたいと思っています。

【身近なのに理解されていない割増賃金?】

厚生労働省 しっかりマスター労働基準法~割増賃金編~
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

今年も地域の商工会や県からの専門家派遣というかたちで、
新しい事業所の相談を受ける場面が数多くありました。
その時に、まず確認するのが「割増賃金(給与計算方法)」。

100点満点、という計算はかなり難しいのですが、
逆に基本的な「割増賃金」の計算が出来ている事業所は、
初めて相談を受けるところで1割ないような感じがします。

基本は次の3種です。

①時間外労働 1週40時間・1日8時間を超えたとき…25%以上
②休日労働  法定休日(週1日)に勤務させたとき …35%以上
③深夜労働  22時~5時までの間に勤務させたとき …25%以上
※変形労働時間制の場合は制度ごとで異なります。

①の例
・1日10時間勤務した場合の2時間
・週6日×8時間勤務した場合(48時間)の8時間
⇒時給1,000円ならそれぞれ1,250円以上の支払いが必要

②の例
1週間で1日も休みがない場合の休日出勤(1日分のみ)
⇒時給1,000円なら1,350円以上の支払いが必要

③の例
夜10時から勤務する場合
⇒基本時給1,000円なら1,250円以上の支払いが必要
⇒1日8時間超のまま深夜勤務をする場合1.5倍(1,500円)以上が必要

【割増賃金計算ミスの怖さとは?】
支給すべき額が足りない場合、一般的に未払い賃金と言われ、
これは発生時期から向こう3年間請求できることになっています。
しかも、これは今後向こう5年間に変更となる予定です。

例えば、今年12月に支給した賃金に未払いが生じている場合、
3年後の令和6年の12月頃まで請求することが出来ます。
仮に5年となれば、令和8年12月頃までとなります。

また一般的にその会社で行っている賃金計算は、
すべての社員が同じようなかたちになっている為、
すべての社員の計算が誤っている可能性が高いです。

労働時間と給与明細がわかっていさえすれば、
その計算が法的な金額を満たしているかははっきりする為、
明らかな未払い賃金は、経営上の大きなリスクとなります。

【割増賃金を誤っている事例の特徴】
・そもそも基礎単価や割増賃金率を誤っている。
・自社の労働時間がよくわかっていない。
・残業に対しては、なんとなくの金額で払っている。
・労働時間になるべきところをグレーなままにしている。
・1週間の勤務日数が6日ある。
・月給で全てコミコミ、というような説明をしている。
・日報が手書きで時間管理もあいまい

残業がほぼない会社の場合は、あまり心配ないのですが、
上記なような特徴がある会社の多くは割と残業が多く、
労働時間の管理も曖昧なケースが多いです。

そうなると、そもそもの残業代(割増賃金)の支給額が正しいか、
以前に労働時間の管理をどうするかという問題も出てきます。

上記内容に当てはまる場合、すぐにでも賃金計算を
見直す必要があると思われるので、まずは一度ご相談頂くことを
お薦めしたいと思います。

未払い賃金は、その計算をしている以上、リスクが継続するので、
1日も早く改善することが重要です。

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※web通信 前回のダイジェストです。
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★編集後記
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割増賃金の計算は社労士でも難しいケースがありますが、
基本的な計算において、最初の計算の設計部分を、
しっかりしておくことでリスクは相当に低減できます。

今後、未払い賃金が生じた場合の問題は、
会社をつぶしてしまうくらいのインパクトもあり得る為、
よりよい状況にしたい会社は早めに見直しをご検討下さい。

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