同一労働同一賃金の実務的影響とは③!?

社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。

年度末ということで、やはり行事が多く、
特に子供絡みの諸々の準備などは、
その時だけのことなので、時間が取られます。。。

そんな子供たちも、毎日見ているはずなのに、
急に大きくなったと感じるような時があります。

今後もそうかもしれないですが、
子供たちも「変化に対応しながら」成長しており、
それに負けてはいられないなぁと思わされます。

さて、本題です。

【同一労働同一賃金で何が起きるか?】

いわゆる「パート・有期雇用労働法」第8条の
条文を複数回に分けて確認しています。

条文は下記になります。

『事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、

当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の

業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、

当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に

照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。』

【待遇を判断するポイントは?】
待遇に差があっても問題ないかを確認しますが、
ポイントは条文の中の次の3つとなります。

① 職務内容
② 職務内容・配置の変更
③ その他の事情

今回は②、③を見てみます。

(② 職務内容・配置の変更)
《業務の内容の変更》
長期的な人財育成を前提として将来的に職務の内容
(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む)
等が変更していくか?
その変更の内容の範囲は?
業務能力の向上とキャリア形成の方向・内容は?

《責任・役割の変更》
昇進、昇格・役割、権限、管理責任等の変更の
制度・範囲は?

《配置の変更の範囲》
業務の変更、転勤、昇進、人事異動、職場や企業における
役割の変更をしていくか?
その範囲・内容は?

前回紹介した①は「どんな仕事をするか?」
「その仕事の中でどんな責任を負うか?」
という感じになります。

それに対して、②は「仕事の中身が変わることがあるか?」
「仕事の中に格付けのようなものがあるか?」など、
社内の仕事にどこまで携わる可能性があるか、となります。

例えば、製造部門限定で雇用されている場合は、
それ以外の仕事をしないこととなりますが、
営業への異動もあるよ、となれば、②の違いがあると言えるでしょう。

(③ その他の事情)
経営判断、経済社会の事情や状況、必要な業務の成果、
所用の能力、必要な経験、労使の慣行、労使交渉の経緯、
定年後再雇用者、正社員登用性、当該企業の特徴・性質など

文字通り「その他の事情」で、①、②以外に
考慮する違いがある場合は、それらも考慮されます。

実はこの③をどう考慮するかで結論は大きく変わり、
例えば「定年後再雇用者」は長澤運輸事件
(平30.6.1最高裁第二小判決)で非常に重視されました。

定年後再雇用者は「長期間雇用することは通常予定されていない」
「年金の支給を受けることも予定されている」などの理由で、
正社員との賃金の差異が不合理と言えないとしています。

中小企業としては、細かな判例の分析というよりも、
「こういう差は問題になり得る」「どうすればリスクが減るか」
という実務の部分を意識しておくことが大切かと思います。

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令和3年3月23日(火) 14時~15時
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★編集後記
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法律は、枠組みで考えるのではなくて、
実際の話に当てはめるとわかりやすく、
この法律も、そういう側面がかなりあります。

「これが正解」というのは個々の企業で異なる為、
今も、各社の制度設計などを見ながら、
どこまで対策するかを一緒に考えています。

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