退職時、年次有給休暇の消化は必須!?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
新型コロナが騒がれて約3年、無縁と思っていましたが、
ついに今年に入って、感染の波に飲まれ、
陽性となってしまいました。。。
ここまで来ると、インフルエンザなどと一緒で、
「1回くらいはかかっていても仕方ない」という感じですが、
なってしまうと、色々な行動制限の影響を実感します。
幸い、生命の危機ということまではないものの、
かなりつらい思いをしました(周りも高熱はかなり多いです)。
4月から取り扱いが変わっていくという方針のようですが、
実生活レベルが急に変わるとは思えないので、
まだまだコロナの影響は続くんでしょうね。
【退職と年次有給休暇】
理由は様々でしょうが、年度の区切りについては、
人の動きが多くなる傾向があるようで、
退職・就職も3~4、9~10月は多いように思います。
このようなタイミングでよくある質問が
「退職時、年次有給休暇(以下「年休」)の消化は必要ですか?」
というもの。
ひと昔前なら、そもそも「年休」の話題すらなかったものが、
時代も随分変わった感じがします。
更に最近ではパートタイマーのように、正規雇用でない退職者も
この手の相談が増えたというのは、本当に時代が変わった感じがします。
さて質問の回答ですが、下記のようにすることが多いです。
消化は義務ではないですが、本人も年休があることを分かっていれば、
スッキリ使い切って辞めてもらうのがよいと思います。
これに対しても、一昔前なら「何とかなりませんか」的な
話になることが多かった気もしますが、最近は
「そうですよね、仕方ないですね」という感じになります。
【基本的な年休の考え方】
年休は労働者の権利であることから「使いたい」と本人が言って、
はじめて使うことになります。
その為、逆に会社が「年休が残っているので、退職まで年休を
全部使って休みなさい」というのも法的には若干問題がある取扱いです。
私はよく「休めるチケット」のような伝え方をしていますが、
年休が発生した時に、会社から「休めるチケット」を本人に渡し、
それを「本人が使った時」に休めるという仕組みとなります。
上記の退職時の話は「そのチケットを全部よこしなさい」と言っており、
法的には「本人が使うと言っていないチケットは勝手に使えない」
という理解になります。
2019年4月の法改正で、「年休の年5日の付与(消化)義務」となりましたが、
それに際して、本人が全く年休を使わない場合においては、
本人に意見聴取をしながら、会社が指定するということは認められています。
近時は、年休の日数も含めて「自分に権利がある」ということが、
だいぶ浸透している為、退職前に年休の話が労働者から出てくることは、
割と普通になってきていると思います。
【年休と退職時あれこれ】
また、同じような質問で「残った年休の買い上げは必要ですか?」
というものもありますが「必要ありません」が回答です。
年休は退職と同時に権利が消滅してしまう為、
使い切っていなければ、それでおしまいという話です。
会社によっては「残った年休は買い上げてあげたいので、
ルール化(規則に書いたり)したい」という相談も稀にありますが、
これも「やめておいた方がよい」というお話をしています。
そもそも年休は「休んで英気を養う」というような趣旨であることから、
お金で買い上げるということは法的に問題があります。
その意味で「買い上げを前提とするようなルールはよくない」
ということがありますが、同時に考えられるのが
「揉めて辞めた労働者にも支払えますか?」という話です。
当然、すべての労働者が円満退社してくれることが望ましいですが、
現実的にはそうならないことも多く、下手をすれば
「給料すら払いたくない」というような退職の場面も実際にはあります。
そういう時は「自社で決めたルールなので、しっかり守りましょう」
ということになりますので、そこをどう考えるかということです。
話は最初に戻りますが、退職時の年休消化については、
「スッキリ使い切って」気持ちよく退職してもらうというのが、
最終的には会社の雇用の姿勢としてもよいのではないかと思っています。
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★編集後記
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ここ数年、年休の付与がかなり浸透してきて、
最初の1~2年は苦戦しますが、慣れてくると、
会社側も自然に処理が進んでいるように思います。
ただし、退職時の年休の対応のところは、
実務上、悩ましい場面があるのも事実ですが、
出来るだけ「スッキリ消化」出来る雇用を目指したいものです。
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