「基本給」を下げて「手当」が多い方がよいのか?
社会保険労務士法人シャイン
代表社員の中村仁です。
山梨もコロナが相当広がっており、先週あたりは
連絡のかなりの内容がコロナ関係だったりしました。
コロナの感染症としての位置づけが注視されていますが、
病気そのものよりも、政策などに振り回されている感じが。。。
年度末が近づいてきて、諸々の行事なども
開催するか、中止するか、悩ましいことになっています。
【基本給は「低い」方が良いのか?】
「基本給は「低い」方が良いのか?」
割と多い質問です。
これが「正解」というのはないと思いますが、
給料の決定のポイントを考えてみます。
基本給…社内におけるその人の基本的な評価などを反映
手当…設定される条件に当てはまる場合に支給
家族がいれば家族手当を支払う
役職につけば役職手当を支払う 等
基本給の決定方法自体も相当奥が深いのですが、
中小企業の場合は、社長が「えいやっ」で決めていても、
意外と社内でのバランスが取れているケースが多いようです。
それで最初の質問「基本給は「低い」方が良いのか?」
について考えてみると、今の時代は必ずしもそうは言えない
ケースの方が多いのではないかと思います。
なぜか?
今でも割とありますが「賞与」「退職金」などのベースが
基本給になっていることがあり、そういうケースの場合、
そちらを上げたくない意向から基本給が低い場合が多かったようです。
つまり、総額は上げていくとしても、基本給はあまり上げず、
手当を沢山つけることで、総額アップを実現して、
賞与や退職金はあまり上がらないようにするということです。
【手当は多い方がよいのか?】
続いて、手当について考えます。
少し前までは手当での調整は割とありだと思われましたが、
実は法律によってここの考え方を変えざるを得なくなります。
それは「同一労働同一賃金」です。
中小企業でも昨年4月から施行されています。
厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
非常に複雑な法律なので、細かい説明は避けますが、
今まで「正社員に手当があって、パートにない」というのも
それなりに問題ありませんでした。
しかし、この法律が出来たことで、明らかな待遇差となる
手当の差などは問題となります。
例えば「通勤手当」。
通勤は正社員でもパートでも同じようにあるのだから、
通勤手当がパートにないのはおかしい、という感じです。
同じように考えると「家族手当」「住宅手当」なども、
パートであっておも同じように支給が必要なはずです。
正社員とパートで手当の付け方に差がある場合は、
その「差」がなぜあるのか「理由を説明すること」が義務付けられています。
当然、理屈が通らない説明の場合は行政の指導が入ったりもします。
この法律が出来るにあたり、手当の内容を見直すケースが増えましたが、
「調整手当」「特別手当」というような名称のよくわからない手当は、
出来るだけ削除してもらうように指導を進めています。
【給与の決定をどう考えていくか?】
今後、同一賃金同一労働の関係からいくと、手当てを増やすのは、
会社の人件費増につながるという恐れもあることから、
出来るだけ手当は減らしていく方が良いというのがひとつの考えです。
当然、待遇をよくするという意味では手当を充実させることも、
ひとつの考えではあるので、この辺りは「会社として何に力を入れるか」
「どう雇用対策を考えるか」というような問題になってきます。
例えば「資格手当」のように資格者が十分に能力を発揮できるのであれば、
正社員・パート関係なく手当の対象としていく事が必要でしょう。
弊社でも社長などの意向を聞きながら、他社の事例なども交えて、
「今一番人事政策に有効なのはどういう方法か?」
「法的に問題ない方法はどうなのか?」を一緒に考えます。
自社の手当など、見直すには出来るだけ早い方が良いタイミングなので、
是非、現状のままで良いのか、見直すきっかけにして頂ければと思います。
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★編集後記
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賃金の決定方法は、そもそも難しいのですが、
同一労働同一賃金が出てから、より難解になりました。
長いこと給与支払いのルールを変えていない場合は、
一度大きく見直した方が良い場合が多いので、
手当の中身などを是非確認頂きたいと思います。
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